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インドネシアにおける就業規則と労働協約の違い

日本で人事担当として組合対応や労働組合活動に参画していた方でなければ、労働協約という言葉を聞いてもピンとこないかもしれませんが、インドネシアでは日本と就業規則と労働協約について違いがあるため押さえておくことが必要です。

日本とインドネシアでの就業規則と労働協約の違い

​日本では、就業規則は就業上の秩序が守られることを目的に、会社側が定めるもので、一方労働協約は労働者と会社双方が合意の上で定められます。そして、一つの会社で就業規則と労働協約が同時に存在することは可能です。

一方、インドネシアにおいて、労働協約と就業規則が同時に存在することはあり得ません。労使の合意により労働協約が定められ、政府機関にそれが登録された時点で就業規則は無効となります。 ​

​インドネシアの就業規則

インドネシアでの就業規則は従業員が10名以上となった場合に作成が義務付けられています。その内容は、法律で定められている労働者の権利を下回るような事項を定めてはなりません。法律と同等、もしくはそれ以上の内容を規定することとなります。

インドネシアで就業規則を作成するには労働者の意見を聞く必要がある

インドネシアでの就業規則の作成にあたっては、労働者側の意見を聞いたうえで作成することが推奨されています。政府機関に就業規則を登録する際には、申請フォームに最低3名の労働者の代表者の署名を付すことが必要となっています。会社側が会社の方針に従って定めてよいのが就業規則とはいえ、労働者の声も聞く必要があるのは、申請フォームの記載要綱を見ても理解できるでしょう。

​インドネシアの労働協約

​一方、インドネシアでの労働協約は、労働組合と会社が合意した上で作成されます。労働組合が労働協約作成を要求してきた場合には、会社はこれに応じなければなりません。めったにないケースですが、労働組合側が労働協約の作成を要求しない場合は、作成する必要がありません。この場合は、就業規則がそのまま運用されることとなります。

労働協約が合意に至った際には、政府機関に登録する必要があり、その時点で就業規則は無効となります。

インドネシアでの労働協約は一つの会社に一つの労働協約のみ。複数の労働組合がある場合、代表が納得する合意形成が必要。

また日本と異なり、一つの会社には一つの労働協約のみと規定されています。一方で、労働組合は一社に複数の存在が許されています。つまり、複数の労働組合が存在する場合、会社は各労働組合の代表者が納得する合意形成をしなければならない、というわけです。ただし、労働協約作成の場につける労働組合は組合員数の多い順に最大3組合、人数は合計9名までと定められています。

主張の異なる複数の労働組合との労使交渉の難しさは、想像に難くないでしょう。


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※関連法規

・労働組合に関する法律2000年第21号

・会社規則の作成と承認及び労働協約の作成と登録手順に関する労働大臣規定2014年第28号

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