インドネシア進出を検討している企業様からよく質問されるインドネシアへの進出形態とそのメリットおよびデメリットをまとめました。「法人(株式会社/合弁)」「駐在員事務所」それぞれの形態について、目的・要件・コスト・自由度・法的制約等の観点から比較しました。どの選択肢が自社にとって最適であるかを検討する材料としてご活用ください。
区分 | 法人 (株式会社) | 法人 (株式会社/合弁) | 駐在員事務所 (Representative Office) |
---|---|---|---|
設立主体 | 外資単独 | 外資+現地企業 | 現地代表事務所 |
法人格 | あり | あり | なし |
事業活動 | 営利活動可(※一部外資規制あり) | 営利活動可(※一部規制緩和あり) | 営利活動不可(調査・交渉・広報等のみ) |
外資出資制限 | 業種によって制限あり | 業種によって制限あり | 該当せず |
最低資本金 | 100億ルピア(PMA) | 100億ルピア(PMA) | 不要 |
設立期間 | 約1〜2か月 | 約1〜2か月 | 約1か月 |
自由度 | 高い | 中(パートナー次第) | 低い(活動制限多い) |
メリット | 自由度が高い・利益の全額回収可・ブランド展開可 | 人脈活用・外資規制回避 | 低コスト・低リスク |
デメリット | 外資規制・資本金 | 意思決定の複雑化・利益配分 | 営業活動不可・駐在員人数制限有 |
*インドネシアにおいて、株主は必ず2者以上必要です。ここでいう「独資」は、外資側が二者の株主となり事実外資単独(独資)となっていることを意味します。
• 法人(株式会社/合弁)
本格的な事業展開を行う場合の基本形になります。
合弁は外資規制のある業種や市場参入時に有効ですが、パートナー企業の選定や出資比率、意思決定の過程で調整が難航するケースが多くございます。
• 駐在員事務所(Representative Office)
活動範囲は調査・交渉・連絡業務に限定されるため、営業・契約・請求書発行はできません。現地理解を深める段階では有効ですが、意思決定時には都度親会社による判断が必要となります。
よくあるご質問
Q. 外資法人の場合、各産業分類コードKBLIごとに100億ルピアが必要になりますか?
A. 同産業内の場合、各KBLIコードごとに100億ルピアの資本金を払い込む必要はありません。 しかし、産業が異なる場合はそれぞれ必要になります。また建設業や銀行業などの、リスクおよびコストの高い産業分野 は、100億ルピア以上の資本金が必要となります。
Q. 外資法人の場合、最低資本金100億ルピアはいつまでに払い込む必要がありますか?
A. 以前は定款登記後60日以内とされていましたが、現在は明確な期限の規定はありません。一般的には3か月以内に払い込まれるケースが多く、四半期ごとに投資計画の履行状況をBKPM(投資調整庁)に報告する義務があります。
Q. 外資法人の場合、取締役は常駐する必要がありますか?
A. 常駐を義務付ける規定はありませんが、居住している取締役が最低一名はいない場合、実務上難しい事案が発生します。そのため、就労許可(IMTA) 及び滞在許可(ITAS)の取得が推奨されます。
Q. 合弁会社となる場合、株保有率は50%-50%で良いですか?
A. 50%-50%の保有率は避け、一方の株主がマジョリティとなるケースが望ましいです。社法上、75%以上の保有により単独決議が可能となります。
Q. 駐在員事務所と現地法人の税制面での違いは何ですか?
A. 基本的には同じですが、駐在員事務所は利益創出ができないため法人税が免除されます。税務会計に関する多い合わせは当社税務会計部門までお問合せ下さい。
Q. 100億ルピア未満の資本金で現地法人 (PT)を設立する方法はありますか?
A. 原則としてございません。進出の第一歩として、雇用代行(EOR/Employer of Record)や委託製造(OEM/Original Equipment Manufacturer)の活用が有効です。