インドネシアでの事業拡大は、製造業にとって重要なタイミングです。生産量の増加や市場の将来性への期待、さらには生産体制の強化などを背景とした戦略的な判断といえます。
一方で、土地や既存建物を取得する場合、手続きが想定より複雑になることも少なくありません。インドネシアで不動産を取得する際には、所有権の状況や法律上の義務、担保の有無、税務上のリスク、名義変更の手続きなどを丁寧に確認する必要があります。
本記事では、JAC Consulting Indonesiaが関わった実際のプロジェクトをもとに、事前の詳細な調査と実務対応によって、製造企業がリスクを回避しながら安全に工場拡張を実現した事例をご紹介します。
隣接工場建物の取得における課題
ある製造企業は、既存工場の隣にある建物を取得することで事業拡大を計画していました。この物件はすでに稼働を停止していたものの、立地や用途の面から見て魅力的な投資機会と考えられていました。
当初、この取引は比較的シンプルに見えていました。主な条件は以下の通りです。
購入価格:約450億〜500億ルピア(参考)
手付金:約20億ルピア(参考)
不動産に関する書類一式
事業的に見ても活用価値の高い案件でしたが、投資額が大きいことから、契約前にしっかりと確認を行う必要がありました。
しかし調査を進める中で、当初は単純に見えた取引の裏に、複雑な事情があることが分かりました。この不動産には未解決の借入があり、金融機関の担保としても設定されていたのです。
そのため、単に書類を確認するだけでは不十分で、より詳しい調査と、最適な取得方法の検討が必要となりました。
※金額は参考値です。
調査と手続きのトータル支援
当該企業が安心して手続きを進められるよう、単なる書類確認にとどまらず、調査、財務確認、関係者調整、競売対応、最終引き渡しまでを含む包括的な支援が行われました。これにより、法務面と実務面双方のリスクに対応しました。
1.契約前の詳細な確認
まず、警察や裁判所などの関係機関を通じて、詳細な状況確認を行いました。
その結果、不動産所有者に未払いの債務があること、さらに物件が金融機関の担保になっていることが判明しました。
このため、通常の売買では取得できず、債権者や担保の扱いを踏まえた正式な手続きを取る必要がありました。
ここから得られる重要なポイントは明確です。書類が揃っていても、それだけで安心せず、必ず第三者の視点で確認することが必要です。
2.費用と負担の整理
次に、この不動産に関わるコストや負担を整理しました。確認した項目は以下の通りです。
未払いの借入
担保の条件
固定資産税の未納リスク
管理費などの負担
名義変更にかかる費用
これにより、購入後に想定外のコストが発生するリスクを抑えることができました。
さらに金融機関と直接交渉し、以下の条件に合意しました。
最大1年分の固定資産税や管理費の負担
名義変更費用の免除
その結果、費用の見通しが明確になり、リスクも大きく低減しました。
3.競売による取得
調査の結果、この物件は通常の売買ではなく、競売を通じて取得する必要がありました。
金融機関や関係機関との調整を行い、書類準備から手続きの進行まで一貫して支援しました。
最終的に企業は競売で物件を落札し、所有権の移転と引き渡しも問題なく完了しました。
通常、債務が絡む不動産はトラブルが起こりやすいですが、本件では事前の対応により、スムーズに取得が完了し、事業拡張も予定通り進めることができました。
成果と示唆
今回の案件では、以下の成果が得られました。
取得費用を約450億〜500億ルピアから約250億ルピアへ削減
リスクの高い直接取引を回避
正規の手続きによる安全な取得
税金・管理費・名義変更費用の削減
手続き全体をスムーズに完了
※金額は参考値です。
まとめ
この事例が示すのは、不動産取得では価格や立地だけでなく、
法的な透明性
手続きの正確さ
事前のリスク確認
が非常に重要であるという点です。
JAC Consulting Indonesiaでは、こうした調査や手続きを単なる確認作業ではなく、企業の意思決定を支える重要な支援と位置づけています。
専門知識と実務対応、交渉力を組み合わせることで、インドネシアの複雑な環境でも、企業が安心して判断できるようサポートしています。

インドネシアで事業展開をしている日系企業
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